【稚内、紋別、小樽、根室】ロシア政府が三十日、活ガニの全面禁輸方針を明らかにしたことに対し、国内最大級の活ガニの輸入基地である稚内市や紋別市などの水産関係者は「活ガニ輸入が本当にストップすれば、大打撃を受けかねない」と危機感を募らせている。
稚内港の二○○六年のロシアからの活ガニの輸入量は一万五千七百三十六トン、輸入額は約六十九億円に上る。最盛期の○三年には、百二十五億円の輸入額があり、輸入に伴う水産加工や運送業界などを含めると、年間四百億円程度の経済波及効果があったという。
稚内の漁業関係者によると、ロシア国内では自国船の漁獲物であっても、排他的経済水域で水揚げした魚介類はすべて関税対象になるという。
こうした事情を踏まえ、関係者は「活ガニをロシア国内にいったん水揚げすることを徹底させ、税収増を図るのがロシア政府の狙いではないか」と指摘する。
同市内の活ガニ輸入業者は「これまでロシア船が稚内に入港していたのは、サハリンから近く、活ガニの鮮度を保てるから」とし、「今後、輸出対象が冷凍ガニに限られれば、稚内にロシア船が来る意味は薄れ、入港隻数も激減するのでは」とみる。
ある水産会社は「禁輸が徹底されれば、水産会社はもちろん、運送会社、加工場など多くの産業に影響が及びかねない。行政は早急に対応すべきだ」と語気を強める。
稚内と合わせ、ロシアから道内への輸入活ガニの四分の三を占める紋別。釧路税関支署紋別出張所がまとめた○六年の紋別港貿易概況によると、ロシアからの活ガニ輸入量は二万九百トンで、輸入額は七十九億二千万円。大半のカニを市内の加工業者らが仕入れ、札幌や東京、大阪などに出荷する。
ロシア産のズワイやタラバの活ガニ約六百トンを扱う紋別の加工業の社長は「影響がどれだけ大きいかは計り知れない。活ガニがなくなり、冷凍カニに頼ることになれば、消費者においしいカニを届けることも難しくなる」と声を落とす。
小樽市の水産物卸・小売業「小樽シーフーズ海商」の伊藤実竜(みのる)社長も「厳しい影響が出る」と受け止める。同社が扱うタラバはロシア産が90%以上を占めると言い、「これまでは活で入れて国内でゆでて冷凍していた。今後は船上で解体し、足だけ凍らせたのが韓国経由で入ってくると思うが、今でも韓国の入札では欧米に買い負けている状態。価格がどこまで上がるのか…」と心配する。
ロシア事情に詳しい根室市の水産物輸入業者は「驚いた。『ロシアの水産物はロシアの港に揚げて、ロシアで加工する。買いたければどうぞ』ということか。これで安い活ガニはもう日本人の口には入らなくなる」。
道は「プーチン政権は、水産資源の輸出制限を強化しており、これまでの流れからいっても、今回の全面禁輸措置は十分あり得ることだと思う。まずは事実関係の確認を急ぎたい」(漁業管理課)としている。
(北海道新聞より引用)
2007年6月11日月曜日
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